地域教育プログラム

地域教育プログラムの位置づけ

経済、社会、環境の大きな変化の中にあって、これからの時代に生きる若い世代には、これまでの仕組みの延長線上に自らの能力を磨くだけでなく、変化する時代を生き抜き、持続可能な社会の創造を担う能力と資質を養うことが求められています。

滋賀県立大学では、この課題に応える未来志向の変革力を身につけた人材を育成するため、2015年度から教育カリキュラムを大幅に改め、これまでの、専門性を身につけ、俯瞰的に物事を見る能力を養うことに加えて、現実に生起する諸問題に創造的に取り組み、変革する能力と態度を養うために、新たに地域教育プログラムを整備・体系化しました。

地域教育プログラムの位置づけ

地域には、教室では学べないことがたくさんあります。地域の現場に飛び込み、生きた課題に触れることで、大学で獲得した知識や技術を生かすための「感性」を養うことができます。また、多くの地域の人との出逢いは、知識や技術の獲得につながるだけでなく、就職をはじめ、人生を豊かにする財産となります。

「地域教育プログラム」では、より豊かな学びの成果を得るために、大学と地域の様々な主体が連携・協働して学生の学びの場を構築し、地域の人や自然とのつながりを築くための基本的な作法やマナーから、地域を理解し、地域の人々や仲間を巻き込み、課題解決を実践するための技法などを身につけていきます。これらは、変わりゆく社会の中で、一人ひとりが輝くための必須の能力です。

身につける力

地域や社会の課題に対して既成概念や常識を打ち破り、新たな価値を創造し未来を拓く力「変革力」の修得を目指します。この変革力を以下の3つの側面から養います。

【コミュニケーション力】他者を理解し共感し豊かな対話を可能にする力

【構想力】地域の過去や現状に関する正しい認識の上に立って、あるべき未来の姿を描き出す力

【実践力】自ら率先して行動し、人をまきこみ、試行錯誤しながら構想を実現に導く力

地域教育プログラムの特徴 ~地域のサポーターが学びを支援~

様々な分野の教員と先輩、そして学生の育ちを応援してくれる地域のサポーターが連携して学びの場を提供します。多くの地域の人びとを教室に招き、また逆に地域に出向いて、生の地域課題や地域の魅力に触れ、対話やグループワーク、ワークショップや活動への参加など、アタマとカラダとココロの全部を動かす「アクティブラーニング」によって、生きた知と実践力を身に付けていきます。

地域教育プログラムが目指す変革力醸成のためのステップ

地域教育プログラムは、各学部学科の学びの中で、学ぶ事ができるよう配置されています。

専門的な学びにおいても「地域」を志向した科目(地域志向専門科目)が配置され、自らの専門と社会や地域とのつながりについて考察を深めることができます。卒業研究や卒業制作においてもそうしたつながりに配慮した発想を生かすことが可能となります。

地域教育プログラムでの学びと各学部学科の専門科目における学びの相乗効果で、専門的な能力と共に、コミュニケーション力、構想力、実践力に基づく変革力が身に付くのです。

選択必修科目

地域教育プログラムが目指す「変革力」醸成のためのダブル・ステップ

地域教育プログラムのカリキュラムマップ

地域教育プログラムは、「基礎」「展開」「応用」で構成されています。「基礎」では、1年次必修の「地域共生論」と、選択科目の「地域コミュニケーション論」「地域課題科目」において基礎的な能力を養います。「展開」では、地域学副専攻科目や各自の学部学科に設置された地域志向専門科目において、地域とのつながりを学ぶための理論や手法を修得します。「応用」では、地域共生センター教員等がアレンジした具体的な地域フィールドや地域課題をテーマに、自らの専門性を生かした実プロジェクトに参画することで、実践力を鍛えます。

近江楽士(地域学)副専攻は、これらの地域教育プログラム「基礎」「展開」「応用」の3段階を履修した証として、大学が称号「近江楽士」を授与し、その能力を保証する制度です。この副専攻には「コミュニティ・ネットワーカーコース」と「ソーシャル・アントレプレナーコース」の2コースがあります。3年次の履修登録の段階で「修了見込み」を発行できますので、就職活動などに活用することが可能です。必修科目(3科目6単位)および選択必修科目(11科目22単位から1科目2単位以上を履修)を通じて、コミュニケーション力、構想力、実践力のスキルアップを図ります。

地域教育プログラム カリキュラムマップ
カリキュラムマップ2021

「地方創生、地域活性化」のエキスパートになる ~大学院:近江環人地域再生学座

学部学科における学びを生かし、地域や企業でより専門的にスキルを展開したい人、まちづくりや地域活性化のエキスパートを目指したい人、自ら起業をしたい人などを対象に、大学院に副専攻「近江環人地域再生学座」を設置しています。近江環人地域再生学座では、地域資源を活用した地域課題の解決や地域イノベーションを興し、新しい地域社会を切り拓く、社会的起業家やコーディネーターとして地域診断からまちづくり活動の実践まで、地域における多様な活動や挑戦のための知識・手法を修得することができます。所定のプログラムを修了した学生を対象に、検定試験を実施し、合格した人に「近江環人(コミュニティ・アーキテクト)」の称号を付与します。社会人と院生が一緒に学び、各地の実践者とのネットワークを形成することができます。

地域教育プログラム関連科目

(1) 地域基礎科目

地域基礎科目は地域教育プログラムの基礎となる科目群です。
地域基礎科目は全学共通科目ですので、全学部生は次の必修科目および選択必修科目を履修してください。
○必修科目: 1科目2単位
○選択必修科目: 1科目2単位以上
○合計: 2科目4単位以上


(1) 必修科目:科目単位

科目名称 配当年次 単位数 備考
地域共生論 1・前 2

(2) 選択必修科目:科目単位以上

科目名称 配当年次 単位数 定員 備考

地域コミュニケーション論

1・後

2

地域活動実践ターム(注1)に実施

地域診断法

1・後

2

60

副専攻(CN必修)

ソーシャル・ビジネス概論

1・後

2

100

副専攻(SE必修)

地域社会福祉論

1・後

2

地域づくり人材論

1・後

2

びわこ環境行政論

1,2,3,4・後

2

注2

多文化共生論

1・前

2

隔年開講(奇数年開講)

地域産業・企業から学ぶ社長講義

1・後

2

150

SDGsと滋賀のグローカル・イノベーション

1・前

2

100

近江の美

1・前

2

100

隔年開講(偶数年開講)

彦根商工会議所寄附講義
「世界遺産のまちづくり・人づくり」

1・後

2

40

(注1)地域活動実践タームとは、全学的に地域活動の実践を促進する休業期間中の特定期間をいいます。
具体的な期間は学年暦を参照してください。

(注2)「びわこ環境行政論」は、環境政策・計画学科の2020(令和2)年度以降入学生は地域基礎科目ではなく、学科専門科目として卒業要件に算入されます。

(注3)地域コミュニケーション論、地域診断法、ソーシャル・ビジネス概論以外の選択必修科目を地域課題科目といいます。

(注4)定員を超える登録があった場合は、受講者の選定を行います。

(2) 地域志向専門科目(詳細は各学部のシラバス概要を参照)

地域志向専門科目は、各学部学科の専門科目の中で地域志向の科目です。副専攻の履修要件ではありませんが、地域教育の一環として積極的に履修することを推奨します。

学部 科目名称 学科 科目名称 学科

環境科学部

環境フィールドワークI

全学科

地域システム論

環境フィールドワークII

全学科

地域調査法演習

環境フィールドワークIII

全学科

地域環境計画

理論生態学

態、資

都市・地域計画

琵琶湖環境学

木匠塾

環境政策デザイン論・演習

地域資源管理学

ファシリテーション技法・演習

地域情報処理学

環境心理学

工学部

材料科学実験II

電子システム工学実験IV

機械システム工学概論

全学科

人間文化学部

環琵琶湖文化論実習

全学科

食品加工実習

地域と空間

コミュニケーション論

地域研究論

現代社会福祉論

地域文化財論B

社会変動論

地、関

近世近江論

社会問題の社会学

生活デザイン学外演習

生涯学習論

考現学概論

社会運動論

道具デザイン演習III

日本社会論

地、関

道具デザイン論

発達支援論

道具計画論

多文化社会論A

人間看護学部

人間看護学概論

小児看護学概論

在宅看護学概論

成人看護学概論

公衆衛生看護学概論

母性看護学概論

精神看護学概論

老年看護学概論