博士後期課程
研究科の構成
環境変化にともなって求められる保全・管理の方策についての科学的解明、ならびに持続可能な地域社会の建設のための方法論の開発のために必要となる環境保全と環境計画についての学理と方法論のより高度な教育と研究を実現するために、本研究科博士後期課程は環境動態学専攻と環境計画学専攻の2専攻で構成する。
環境動態学専攻
本専攻においては、自然生態系や林地と農地等の管理された生態系の生物、地学、物理、化学的変容過程、環境動態を解明し、自然環境の保全・維持管理手法の創造をめざす教育研究を進める。本専攻は、研究手法に基づき、生物圏環境、生態系保全、生物生産の3研究部門により構成する。
生物圏環境研究部門は、生物圏の重要な環境構成要素である大気圏、水圏、岩石圏および土壌圏のマクロ、メソ、ミクロ動態を究明し、その管理手法を最適化するための教育研究を行う。
生態系保全研究部門は、森林、農地および河川、湖沼などの陸圏、水圏および集水域の生態系動態、物質動態、水質汚濁、生物社会の相互関係などを究明し、自然資源の持続的利用と環境管理に不可欠な生態系と水環境の保全などに関する教育研究を行う。
生物生産研究部門は、管理された生態系の構成要素である生物を資源として持続的にかつ高度に活用するための新しい遺伝資源の開発と利用および生物機能を活用した生産管理技術の開発を目指した教育研究を行う。
研究領域の研究内容と担当教員
環境計画学専攻
本専攻の使命は、持続可能を大前提として、人間が生きていく上で必要な各種ニーズを満たすことができるよう資源の配分方法を見出しその利用を最適化することにある。この目的を達成するために、環境意匠研究部門(環境造形分野と建築計画分野で構成)と地域環境経営研究部門(地域システム分野と環境経済・政策分野とで構成)を置く。
環境意匠研究部門は、自然環境と調和した建築造形、景観デザインの多角的理論と実践、歴史や風土のなかで育まれた建築史観、および人間活動の変化と地域の環境に根ざした持続的な都市・建築の計画と自然環境に対峙し得る普遍的、先端的な防災科学の理論について高度な教育研究を行う。
地域環境経営研究部門では、環境・社会資源の管理と利用方法の合理化、持続可能社会構築のための経済手法の開発、政策提言を目標とした市民参加の方法論などのテーマを通じて、先駆者的研究者としての独創能力を開発してゆく。学生は選択した分野の中に新しい知を発見し、研究者のリーダーとして、持続可能社会の構築に貢献することが期待されている。
研究領域の研究内容と担当教員
教育研究の特色
本研究科は、学部、大学院博士前期課程での教育研究をふまえて、博士後期課程ではより専門的・先端的な国際社会をリードし得る高度な教育研究を推進するとともに、環境に適合し得る幅広い視点に立つ環境科学を基礎とする総合的・学際的な教育研究を行う。
本研究科においては、学生の研究課題に即して選任された専攻の主指導教員と、その研究遂行に必要な副指導教員(同一専攻や他専攻、または他研究科の教員)からなるコミティによる学生指導を行い、多様な環境問題に対応しうる人材を育成する。学生は、入学時に研究部門とともに主指導教員を決める。主指導教員は副指導教員と連携して演習指導、ならびに博士論文の作成指導を行う。学生の標準修業年限は3年とし、必修(特別演習4単位と特別研究)を含む8単位を修得後、博士論文の審査および最終試験に合格したものに、博士(環境科学)または博士(学術)の学位を与える。