フランス留学レポート

人間文化学部 国際コミュニケーション学科 森本 ちえみさん

フランス リール政治学院

リール政治学院

 こんにちは。フランス、リール政治学院に留学中の森本ちえみです。初めての海外長期滞在ということで、言葉も文化も何もかもが日本とは異なる環境に慣れるのはとても大変でしたが、やはり三カ月も経つと生活も安定し、忙しくも楽しい毎日を送っています。幸い、リール政治学院に一緒に留学している本城さんと中村くんと三人で協力し合って手続きなどを済ませることが出来ましたが、情報が足りずに行き詰ることも多くありました。これは私たちの後に留学する人たちも同じように抱える問題だと思うので、そんな人たちに少しでも参考にしてもらえるような日記を書きたいと思っています。今回は、こちらで生活する上での基本的な情報をまとめました。

【寮とリール】

 私たちはSciences po lilleから徒歩10分ほどの場所にあるMoulin parcという寮に住んでいます。他の大学に通う人たちも多く住んでいますが、寮と言っても学生アパートに近いため、他の住人とはエレベーターや洗濯など限られたスペースで挨拶をする程度です。部屋にはキッチン(冷蔵庫付)、シャワー(浴槽無し、狭い)、洗面台、勉強机、机、本棚、ベッド、電子レンジなどが備えつけられています。今まで住んでいた人が残していったものが異なるので、各部屋置いてあるものは様々です。私の部屋には多くの調理器具や食器、ハンガー、テレビ(故障)、体重計(故障)などがすでに置いてあったので、出国前に郵送しておいたものの中で実はあまり必要でなかったものもありました。郵送は、現地に着いてから必要なものだけを送ってもらうのがいいと思います。しかし、郵送にもかなり手間がかかるので日本にいる間に自分でできることはしておくべきですね。ちなみに、私たち三人の部屋はかなり近いです。私たちの前に住んでいた人たちも日本人だったので、代々日本人の部屋として受け継がれているようで、お箸や日本語の本も置いてあったりします。私の部屋は通りに面しているので、毎日道に群がっているお兄さんたちが窓から見えますし、荒い運転の車やバイクの音がうるさい時も多々あります。決して治安がいいとは言えない所ですが、大家さんはとても親切で優しい人ですし、他の寮と比べて値段の割に設備が良く、ヨーロッパ最大の蚤の市(Braderie de Lille 9月一週目の土日)では、窓からたくさん出店や人々の楽しそうな姿を眺めることもできるので、気を抜かずに生活していれば過ごしやすく良いところだと思います。

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【Sciences po Lille】

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 リール政治学院は、私の住む寮から徒歩10分ほどの場所にあります。大通りから少し人気の少なそうな道に入り、アパートなどの横に建っているので、初めは探すのに苦労しました。工場跡を改築して作ったところなので、敷地も狭く、校内は一言でいえば「無機質」です。写真でもわかるように、柱がそのままになっているので、授業を受けるときに柱が邪魔でスクリーンが見えないなんてこともあります。建物は5階建てで、図書館やサンドイッチなどが売っている小さなカフェテリアのようなものもあります。赤い看板が目印の入口の階段は、学生たちの憩いの場になっているので、いつも煙草を吸いながらおしゃべりする学生でいっぱいになります。通るのはなかなか大変ですよ(笑)

【BDI(=Bureau des internationaux)】

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 リール政治学院にはBDIという留学生対応のオフィスがあり、そこにボランティアで所属する学生たちは、私たち留学生一人ひとりに『Buddy』としてついてくれています。私のBuddyは5回生の女の子で、リールにおける生活、勉強など何でも助けになってくれるのでとてもありがたいです。BDIは頻繁にイベントを企画してくれるのですが、その中で「自分の得意分野を披露しよう」という企画がありました。私はEMS便(比較的早くて安全)で愛用のトランペットを持ってきているため、そのイベントに参加して大学のエントランスホールで演奏させてもらいました。中国人とフランス人の友人からのジブリ曲リクエストに応えるのはとても楽しかったです。以前、公園でトランペットを吹いているときに出会った少年もジブリを知っていたので、世界のHayao Miyazakiに感動しました。ちなみに、トランペットを披露した日は私の誕生日だったのですが、みんながサプライズでハッピーバースデーを歌って祝ってくれたのがとても嬉しかったです!!

【新学期の事前準備】

 新学期の10日ほど前には留学生用のオリエンテーションがあり、そこで3時間ほど説明を受け、配られた書類に必要事項を記入します。その翌日には、フランス語のレベル分けテスト(穴埋め、作文等)があり、その場で先生に添削&クラス分け(A~D)をしてもらいます。新学期が始まるまでの期間は、レベル別のクラスでフランス語の授業を2時間×3回と、methodologieという方法論の授業を受け、新学期に備えます。フランス語の授業は、その後も一週間に1コマで継続されます(任意)。

【Les Cours】

 リール政治学院では、履修登録の際にシラバスが存在しないため、授業の名前と、履修登録期間にサイトで見ることのできる授業日程表だけを参考にして履修登録を行います。授業内容が初めてわかるのは、初回の授業に配られるレジュメを見たときです。授業は大体が一コマ120分ですが。先生の都合なのか、授業自体の始まる時間、教室なども週によって変わることが多いため、毎週授業時間と教室を確認する必要があります。枠にはまらない自由なところがフランス人らしいですかね。履修登録はネットで行いますが、定員を超えると登録出来ないので、事前に目星をつけておいてとりあえず気になるものは全て登録するのが良いと思います。

【Sciences po 授業の種類】

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 秋セメスター(9月~12月)、春セメスター(1月~6月)ともに、私たち留学生が受講できるのは、2回生用、4回生用、留学生用 の3種類です。

○2回生用

 リール政治学院の2回生が受ける授業なので、もちろん授業はフランス語です。政治、法、経済、行政など22個から好きなものを選べます。私は大講義室で行われる「Systeme politique et juridique de l'Union Europeenne(EUの政治と法律のシステム)」を履修しています。専門用語多いです。半数以上の生徒がパソコンを持参し、高速タイピングでメモを取ります。私は手書きが苦手なのですが、パソコンが重く、バッテリーも持たないので、必死にメモを取っています。

○4回生用

 これは院生の人向けで、予備知識と語学力が十分にないと難しいかと思います。

○留学生用

 授業リストを見ればわかりますが、授業名の表記の仕方でフランス語か英語どちらで行われる授業かがわかります。私は、「Francais(文法)」「Institutions Politiques Comparees(比較政治体制)」「EU Politics and Institutions(EUの政治と制度)」を履修しています。一週間に語学の授業は90分しかありません。出席、プレゼン、エッセイ、テスト...成績評価は授業によって様々ですが、先生にお願いすれば留学生に対する別の課題を与えてくれるかもしれません。

【外部の授業】

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 メトロで30分ほどの所にあるUniversite de Lille 1(リール第一大学)ではフランス人用の日本語の授業が開講されています。授業内容は主に会話なので、日本人はとても歓迎されます。ゲストとして通っているので、単位はもらえませんが、お金も必要ないですし、先生(フランス人)はフランス人、日本人の両方が互いの言語を学べるような授業をしてくださいます。フランス語と日本語を交えた会話の授業は、毎回ペアが変わるため友だちもたくさんでき、授業以外での交流も多くあります。私はフランスと日本の文化を伝えあうことのできる友人を多く作りたいと思っていたので、このような機会に巡り会えてとてもよかったと思います。
 生活も安定してきた今は、とりあえず人との交流を大切に、今まで以上に慎重かつ積極性を持って生活していきたいです。