モンゴル留学レポート
国際コミュニケーション学科 浅田 誠さん
モンゴル モンゴル国立大学
≪はじめに≫
今回の留学生活中、寮生活や大学生活といった日々の生活だけでなく、授業後や休暇中における課外活動を行うことで、モンゴルの文化や教育について経験を通して学ぶことができました。今回は、日々の生活やモンゴル語の授業と同様に、大切な時間である課外活動の体験の中から、「ホームステイ体験」と「日本語教師体験」の2点について報告したいと思います。モンゴルについて、寮生活や大学生活などに関しては、以前に柴田君が書いた留学生日記を参照してください。
≪ホームステイ体験≫
まずは、「ホームステイ体験」についてです。留学前から、モンゴルの遊牧生活がどのように行われているか、自分の目で見てみたいと感じていました。留学に来てすぐには、そういった体験はできませんでしたが、大学が終わり夏季休暇になった時に、滋賀県立大学に以前留学していたモンゴル国立大学の学生が地元へ帰省するとのことで声をかけてもらい、ホームステイすることになりました。首都のウランバートルから鉄道で約12時間、その後車で30分かけて地元へ到着しました。
ホームステイ中には、遊牧生活を肌で感じられるような様々な体験をしました。ホームステイ初日の夕方には、人生初の搾乳体験を行いました。最初に牧民の方が乳しぼりの手本を見せてくださったので、見よう見まねで乳しぼりに挑戦しました。しかし、力加減や、ミルクを出すことは難しかったです。その後、飲んだ搾りたてのミルクは、新鮮でくさみがなく、格別においしかったです。次に、放牧されていたヒツジとヤギを戻す作業や、ヒツジやヤギのフンを掘る作業を通して、ヒツジとヤギの世話を体験しました。放牧の前、おいしいかどうか半信半疑で食べた茹でたヤギの足が格別においしくて感動しましたが、その後ヤギを放牧することになり、複雑な気持ちになりました。なぜなら、今目の前にいるヤギも、いつかは食べられてしまうのかと、ふと考えたからです。しかし、私たちが食べているもの、生き物も普段見ていないだけで、同じく殺されたり、さばかれたりといった過程を経て、食卓に届いていることを考えると、ヤギに対してかわいそうという感情を持つよりも、命を繋がしてもらっているという感謝の気持ちがわきました。
≪モンゴルにおける日本語教師体験≫
次に、モンゴルにおける「日本語教師体験」についてです。大学の授業は、午前中もしくは午後の約3時間しかないため、授業がない空き時間を利用した活動の一つとして、私立小中学校において、「日本語教師体験」をしました。
今回、この私立小中学校で、日本語の会話の授業を教えることになりました。なぜなら、この学校では、モンゴル人の先生が、作文や文法を中心とした授業を行っていますが、日本人、いわゆるネイティブの先生による会話の授業がなかったからです。そして、生徒がどれだけ読み・書きの力がついても、生徒が自然な会話で話すことができないという課題があったからです。特に、今回担当した生徒は、日本語を聞いて理解することはできるが、聞いたことに対する応答に苦労する生徒が多くいました。そのため、どのように会話を行えばよいか、生徒が積極的に話すことのできる授業を作る中で、教えてほしいとのことでした。
しかし、これまで人に教えるという経験が無かったため、最初の授業は思うようにいかず、試行錯誤の連続でした。悩んだ結果、「モンゴルについて」、「日本について」、「将来の夢について」といった生徒にとって興味関心のある内容を取り上げました。「モンゴルについて」、「日本について」という2つのテーマは、自分自身が知っていることが多いと思いきや、生徒から全く知らなかったことを教えてもらうことも多くありました。何よりうれしかったのは、生徒が「話したい」との気持ちの強さゆえに、授業に積極的に参加してくれたことです。そのおかげか、授業は非常に楽しいものになりました。
≪留学生活を振り返って≫
留学生活を振り返って、2点重要であると感じたことがありました。それは、「語学の準備」と「留学の目的を持つ」の2つの「事前準備」です。
第1に、「語学の準備」としては、「モンゴル語Ⅰ・II」、「モンゴル語コミュニケーションⅠA・ⅠB・IIA・IIB」といった授業を受け、その内容の復習、小テストに向けた勉強を通して、語学を習得していくということも大事ですが、それに加えて、留学までに、各自でどれくらい話せるようになりたいのか、(例えば、日常会話レベルなのか、仕事のツールとして使えるレベルなのか)という目標を決め、自習する、あるいはモンゴル語担当の先生と相談しながら、どのような内容をやっていくか決めていく必要があると感じました。私自身、どこを目標とするかが曖昧であったため、留学前に十分な勉強ができず、留学直後苦労した部分がありました。自分が満足のいく留学にするために、まずは目標に合わせた「語学の準備」が必要であると思います。
第2に、「留学の目的を持つ」ことです。何のために行くのか、具体的に何をしたいのかという目的や留学生活の展望を持っておくことが大事です。なぜなら、その目的や展望があることで、現地に行った時に、何をしたらいいか分からず、路頭に迷うことなく、スムーズに留学生活を送っていけるからです。私自身、モンゴルに行った際に、やってみたいことの中に、先程の体験で挙げた、モンゴルのいなかにホームステイしたい、モンゴルの教育現場を実際見てみたい、との2点を掲げていました。しっかりやりたいと決めたことが、現地でできたことは自分自身の留学生活における達成感にもつながりました。
留学を通してよかったことや反省点から学んだ、重要な「事前準備」について、2点挙げさせていただきました。今留学を考えている方は、こういった「事前準備」を、留学直前の手続きや荷物の詰め込みで多忙になる前の段階で、もう一度考えていただくと、充実した良い留学になるのではないかと思います。
最後まで、読んでいただきありがとうございました。
家路を急ぐヒツジとヤギ
搾乳のお手伝い