工学研究科材料科学専攻の田中秀治さんと世古口太貴さんが、日本材料学会第116回高分子材料セミナーにおいて、学生優秀発表賞を受賞しました
2025年1月30日
12月10日に京都工芸繊維大学で開催された日本材料学会第116回高分子材料セミナーにおいて、本学工学研究科材料科学専攻の田中秀治さんと世古口太貴さんが学生優秀発表賞を受賞しました。
日本材料学会高分子材料部門委員会の主催で毎年開催されるこの研究発表会では、高分子材料の構造やレオロジーに関する学生発表が行われ、その中から優秀な口頭発表を行った学生に対して学生優秀発表賞が贈られています。今年度は22件の発表者の中から3件が選出され、その中の2件に田中さんと世古口さんの発表が選ばれました。田中さんと世古口さんには表彰状が贈呈されました。
発表内容について(田中さん)
題目
ガンマ線照射による架橋が及ぼす高密度ポリエチレンの力学物性と微視的構造への影響
発表者
田中秀治、竹下宏樹、木田拓充、徳満勝久、出崎亮、前川康成(量子科学技術研究開発機構)、永濱毅紘、上田中隆志(滋賀県東北部工業技術センター)
概要
ポリエチレンは軽量・安価で機械的特性や化学的安定性等に優れることから、最も広く使用されているプラスチック材料です。その一方で、その単純な化学構造のため、化学的方法では特性の改質が困難であることが弱点の一つとして挙げられます。本研究では、ポリエチレンに放射線を照射することによる架橋構造導入がもたらす力学物性の変化を詳細に検討し、分子構造・結晶構造の変化と関連付けながら理解しました。この手法は成形加工・梱包後に実施することが可能であるため、非常に適用範囲が広いプラスチックの改質方法として期待されています。
左:世古口さん、右:田中さん
発表内容について(世古口さん)
題目
エチレン/スチレン/ブタジエン3元共重合体の高次構造と力学特性
発表者
世古口太貴、竹下宏樹、木田拓充、徳満勝久、会田昭二郎((株)ブリヂストン)
概要
新たなゴム材料として熱可塑性エラストマーが注目されています。化学的架橋により形成された網目構造を力学物性の起源とする従来のゴム材料は、高性能ではあるもののリサイクル利用が極めて困難であることが問題です。その弱点を克服しうる熱可塑性エラストマーは、一方で力学的性能が劣るという欠点も併せ持ちます。本研究では、結晶性成分、ゴム成分、ガラス成分を共重合により組み合わせた熱可塑性エラストマーが示す優れた力学物性の起源を、X線散乱法や各種分光法により明らかにしました。得られた成果は熱可塑性エラストマーの使用範囲拡大に貢献することが期待されています。