環境科学研究科環境計画学専攻の西村成貴さん(博士前期課程1回生)が、2019年度日本造園学会全国大会においてベストペーパー賞を受賞しました。
2019/05/31
環境科学研究科環境計画学専攻の西村成貴さん(博士前期課程1回生)が、「2019年度日本造園学会全国大会(2019年5月24~26日,筑波大学にて開催)」において,ベストペーパー賞を受賞しましたのでお知らせいたします。
本賞は、日本造園学会全国大会発表論文の中から、良好なプレゼンテーションを伴った特に優れた内容の論文が選定され、若手の筆頭著者に授与されるものです。
論文の概要
著者:西村成貴、村上修一、轟慎一
題目:「軸線の見通しから評価した大中の湖干拓地における景観構成の特徴」(査読付論文)
要旨:
琵琶湖の沿岸に位置する大中の湖干拓地における景観の特徴を明らかにすることが、本研究の目的です。干拓事業で造られた道路、水路、圃場の配置構成にもとづき、軸線を中心とする景観が周囲の堤防上より眺望されると予想し検証しました。
道路および排水路と堤防の交点79ヶ所に視点を設定し、干拓地の道路、水路、圃場などの平面構成と周囲の地理的状況、干拓地や周囲の地形に関わる立体構成、堤防上から眺望される景観の構成について、文献資料や地図の調査および現地踏査の結果を分析し、軸線を中心とする景観の特徴を考察しました。
その結果、道路や排水路の軸線を中心に、その両側に圃場が並ぶという景観の特徴が明らかとなりました。そのような軸線と線対称の景観の特徴は、建物やその他の要素によって弱められることもわかりました。
さらに、フランス式庭園の既往研究で指摘された錯視効果を生み出す勾配変化が、この干拓地にも見られました。本研究を契機として、干拓地の農業基盤が有する軸線景観の美しさが、社会に広く認知されるようになることが期待されます。
大中の湖干拓地における軸線景観の例(撮影:西村成貴)