大学院環境動態学専攻の宋培学さんと高橋祥尚さんが、第81回日本陸水学会において優秀ポスター賞と優秀口頭発表賞をそれぞれ受賞しました

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2016年11月4-6日に琉球大学で開催された第81回日本陸水学会において、本学大学院環境科学研究科環境動態学専攻博士後期課程所属の宋培学さんと同研究科同専攻博士前期課程所属の高橋祥尚さんが、それぞれ優秀ポスター賞と優秀口頭発表賞を受賞しました。本賞は同大会で発表された32題のポスター講演、27題の口頭発表の中から、最優秀の6題づつが選ばれたものです。

 

■受賞発表の概要

 

優秀ポスター賞

<著 者>

宋培学、田辺祥子、伴修平

<題 目>

Spatio-temporal variation in fungal communities in Lake Biwa based on high-throughput sequencing

「次世代シーケンス分析による琵琶湖における真菌群集の時空間変動」

<発表の内容> 

湖沼における浮遊性真菌類の研究はまだそれほど多くない。本研究では、分子生物学的手法(次世代シーケンス分析)を用いて、琵琶湖に棲息する真菌類を網羅的に調べた。調査は、四季にわたって湖沖帯と岸近傍の2箇所で行った。主要な5つの門(Ascomycotaに216 OTU, Basidiomycotaに217 OTU, Chytridiomycotaに82 OTU, Zygomycotaに132 OTU, Glomeromycotaに8 OTU)を含む1,500 OUT(種相当単位)以上が検出された。季節毎に出現種は大きく異なり、常に出現する種の方が少ない傾向にあった。また、沖帯に比べて岸近傍の定点でより高い多様性が認められた。

優秀口頭発表賞

<著 者>

高橋祥尚、田辺祥子、伴修平

<題 目>

オオミジンコの混み合い応答における卵生産および脱皮関連遺伝子の発現応答

<発表の内容> 

オオミジンコDaphnia magnaは込み合うと、成熟サイズが減少し大型の仔虫を生産する。この過程にはビテロジェニン遺伝子の発現量変動が関係することが知られている。しかし、その詳細なメカニズムについては不明な部分が多い。一方で、ミジンコなど甲殻類の卵黄形成に脱皮ホルモンが負の影響を与えることが知られている。そこで、本研究では混み合い応答によるビテロジェニン遺伝子と脱皮ホルモンに関連する遺伝子の発現量を解析し、その詳細を記述した。込み合った状態(10個体/50 ml)で飼育すると、ビテロジェニン遺伝子の発現量が増加し、これに伴って脱皮に関連する遺伝子の一つ(Cyp18a1)の発現量が増加することが分かった。これら応答は可逆的で、込み合った状態から解放すると(1個体)、これらの発現量は低下した。Cyp18a1は脱皮ホルモンを抑制する機能を有することが分かっている。即ち、混み合いに応答して、まずCyp18a1発現量が増加し、脱皮ホルモンの活性が低下することでビテロジェニン遺伝子の発現量が増加したものと考えられた。

優秀ポスター賞:宋培学さん優秀ポスター賞:宋培学さん
賞状(宋さん)
 
賞状(高橋)