Green Carbon株式会社、豊田市・はっぴー農産・滋賀県立大学・京都大学とのAWD実証で中干し延長比約1.2倍のメタン削減効果を確認

2026年4月8日

ネイチャーベースのカーボンクレジット創出・販売事業を展開するGreen Carbon株式会社(代表取締役:大北潤、以下「Green Carbon」)と、豊田市、豊田市の生産者(はっぴー農産)、滋賀県立大学、京都大学が連携し、水田におけるAWD(Alternate Wetting and Drying:間断灌漑)(※1)に関する実証実験(以下「本実証」)を実施しました。
本実証では作付け期間のうち一定期間、複数の水管理条件(中干し後AWD、AWDのみ、中干しのみ)を比較し、メタン放出量および収量への影響を評価しました。その結果、中干し後にAWDを実施する条件において、通常の中干しのみと比較して高いメタン排出削減効果が確認されました。 加えて、本実証条件に基づく比較では、AWD前および中干し前の排出量を含めない排出量を用いた結果、J-クレジットの中干し延長方法論における東海地方の最大削減係数(4.3tCO₂/ha)(※2)と比較して、約1.2倍のメタン削減効果が期待できる可能性が示され、今後の追加実証および方法論化に向けた有用な知見が得られました。

背景

水田由来のメタン排出削減は、日本の脱炭素推進における重要テーマの一つであり、近年はJ-クレジット制度においても水田管理(中干し期間延長)に関する取り組みが進んでいます。Green Carbonは、国内外で水田由来のカーボンクレジット創出に取り組む中で、地域・自治体・研究機関・生産者様と連携した実証ベースの知見蓄積を重視してきました。
今回の実証は、豊田市・はっぴー農産・滋賀県立大学・京都大学との連携により、現地圃場においてAWDの実運用条件下でのメタン排出削減効果と、作物への影響を確認することを目的に実施したものです。特に、実圃場における比較データを通じて、中干し延長に加えたAWD運用の有効性を検証し、将来的な方法論化に向けた基礎データの取得を目指しました。

実証実験の概要

本実証では、豊田市内の圃場において、以下の3条件を比較しました。

  • 圃場1:中干し後AWD(中干し実施後にAWD)
  • 圃場2:AWDのみ(中干し期間も含めたAWD)
  • 圃場3:中干しのみ(中干し後は慣例農法)

各圃場は約1,483㎡〜1,501㎡規模で、圃場ごとの水位データ、メタンフラックスの経時変化、時期別メタン放出量、CO₂換算排出量等を比較評価しました。

実証結果(要旨)

中干し後AWDの条件で高いメタン排出削減効果を確認

CO₂換算排出量の比較において、圃場1(中干し後AWD)は土がメタンを吸収する等の効果も重なり-0.37tCO₂/ha、圃場3(中干しのみ)は4.89tCO₂/haと整理されており、通常慣行の中干しに加えてAWDを実施することで、約5.3tCO₂/haの削減効果が示されています。
また、本実証条件に基づく比較では、J-クレジットの中干し延長方法論に基づく東海地方の最大削減係数(4.3tCO₂/ha)との比較において、約1.2倍のCO₂削減効果が期待できる可能性が示されました。これは、水田における追加的なメタン排出削減の可能性を示す知見として、今後の追加実証や方法論化検討において重要な示唆になると考えています。

CO2換算排出量結果図.png

今後の取り組み

本実証で得られた結果を踏まえ、2026年はJ-クレジットの新規方法論化を目指し、再度研究機関の方と協議を行いつつ、実証の再設計ならびに実証地の拡大を行います。また、全国での普及を目指し、より農家様が取り組みやすいような農法として確立できるように進めてまいります。

  • 実証設計の見直し(測定条件・比較条件の最適化)
  • 実証パターンの追加(中干し前からのAWD導入等)
  • 実証エリア/実証圃場の拡大
  • 収量・品質への影響の確認
  • 方法論化に向けた追加実証および取りまとめ・申請準備

Green Carbonは引き続き、自治体・農家・研究機関との協業を通じて、農業現場に根ざした実効性の高い脱炭素モデルの構築を目指してまいります。

本実証における連携体制

  • 実証主体:Green Carbon株式会社
  • 連携自治体:豊田市
  • 実証協力農家:はっぴー農産 様
  • 研究連携:滋賀県立大学環境科学部松田壮顕講師(共同研究)・京都大学大学院農学研究科中村公人教授

用語補足

※1:AWD(Alternate Wetting and Drying/間断灌漑)
水田を常時湛水させるのではなく、一定期間の湛水と非湛水を繰り返す水管理手法です。水田由来メタン排出の抑制が期待される手法として注目されています。

※2:最大削減係数
インベントリ報告書を基に、J-クレジット方法論において想定される条件別排出削減量のうち、最大の削減量を指すもの

本学研究者情報

環境科学部生物資源管理学科 松田壮顕講師
研究者情報