2017/09/28
大学院工学研究科材料科学専攻博士前期課程2回生の高味拓永さんが,「第30回日本セラミックス協会秋季シンポジウム(2017年9月19-21日神戸大学六甲台地区にて開催)」において優秀ポスター賞を受賞しましたのでお知らせいたします。
本講演賞は,「ランダム系材料の科学」のセッションにおいてポスター発表を行った若手講演者の中で優秀な発表者に贈られるもので,本年は11件のポスターの中から1件の講演が選ばれました。
講演の概要
著者:高味 拓永,山田 明寛, 大内 智博,肥後 祐司,吉田 智,松岡 純
題目:「高密度アルカリホウ珪酸塩ガラスの構造と物性」
講演の内容について:
近年,ガラスの高温高圧処理は,ガラス材料の高強度化や新しい透明ガラスセラミクス材料の開発など,新規機能性材料の開発の手法として注目されています。ホウ素やケイ素の酸化物を主成分とする「ホウ珪酸塩ガラス」は,医療用や耐熱ガラスなどとしてその用途は多岐にわたり,私たちの生活にありふれた材料です。
本研究では,このようなガラスに対して7 万気圧,800℃に至る条件で高温高圧処理を行うことで,より高硬度なガラス材料を作製し,更にその材料の原子レベルでの構造を調べました。
その結果,材料の「硬さ」を示す指標の一つである「ヤング率」は最大で1.65倍(126 GPa)まで上昇しました。このガラスの高硬度化には,主にガラス構造中のホウ素の酸素配位数が3(平面三角形)から4(四面体形)へ増加したことが原因と考えられ,硬さの他にも幾つかの物性の改善が期待されます。