2016/03/10
人間文化学部地域文化学科の亀井若菜准教授が芸術選奨評論等部門文部科学大臣賞を受賞しました。
■芸術選奨 文部科学大臣賞
芸術各分野において、優れた業績を挙げた者又はその業績によってそれぞれの部門に新生面を開いた者を選奨し、芸術選奨文部科学大臣賞を贈ることによって芸術活動の奨励と振興に資するものです。
■受賞対象
『語りだす絵巻─「粉河寺縁起絵巻」「信貴山縁起絵巻」「掃墨物語絵巻」論』の成果
■贈賞理由(文化庁ウェブサイトより)
亀井若菜氏はこれまで日本中世美術史のパフォーマティヴな解読を追究してきた。研究者が「神」の立場に身を置いて作品の「客観的特性」を解き明かすという伝統的な美術史の方法に対し、氏の武器は、作品をあらしめている社会的・歴史的条件の分析、表象としての作品の精緻な解読、そして女性研究者としての自身の考え方に対する意識である。読者は、「粉河寺縁起絵巻(こかわでらえんぎえまき)」、「信貴山縁起絵巻(しぎさんえんぎえまき)」、「掃墨物語絵巻(はいずみものがたりえまき)」の3点の中世絵巻について、単に所与の結論を与えられるのではなく、当時の男女の社会的役割の差異に基づく解釈によって、これらの絵巻が時に思い掛けない結末を示していることを心ときめかせつつ知るのである。
■評論等部門の選考経過(文化庁ウェブサイトより)
評論等部門には、充実した内容の著作が幾つも推薦を受け、審査は最初難航するかに見えた。扱う分野は美術、音楽、文学、映画、舞台芸術など、タイプとしては一般向けの評論から学術的な研究書に近いものまで、多様な主題と形式を持つため、比較検討するのが容易ではない。しかし、最終的には、著作としての意義、内容の面白さ、日本語の質、候補者の仕事全体との関わりなどを鑑みて、選考審査員の判断が大きく異なることはなく、議論を尽くした上で賞にふさわしい著作が選ばれた。
選考には、他部門まで含む選考審査員及び推薦委員から、文部科学大臣賞23名、文部科学大臣新人賞14名の候補が挙げられた。第一次選考審査会では、そこから文部科学大臣賞7名、文部科学大臣新人賞5名の著作を選び、検討吟味の対象とした。そして、第二次選考審査会で、亀井若菜氏の「語りだす絵巻−『粉河寺縁起絵巻(こかわでらえんぎえまき)』『信貴山縁起絵巻(しぎさんえんぎえまき)』『掃墨物語絵巻(はいずみものがたりえまき)』論」と、長木誠司氏の「オペラの20世紀夢のまた夢へ」を文部科学大臣賞に、山本聡美氏の「九相図(くそうず)をよむ朽ちてゆく死体の美術史」を文部科学大臣新人賞にそれぞれ選出した。
■文化庁:平成27年度(第66回)芸術選奨文部科学大臣賞及び同新人賞の決定について
http://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/2016030902.html